ここを押すと血行がよくなる!ツボ特集

私たちの体には、血行を促進させる、さまざまなツボが存在します。
自分自身で手軽にできる、押すと気持ちいいツボを紹介していきます。

ツボ

第1回 血海

【取穴部位】
大腿前内側にあり、膝蓋骨内上角の上2寸にとる。
足ひざの内側にお皿のやや上、皿から指3本分くらい上にあり、足を伸ばしたときにできるくぼみの上端にある。押すと痛みを感じる。
血海
【刺激方法】
3-5秒間押す、2-3秒間離すを繰り返し行う。
補法:ゆっくり押す、ゆっくり離す。
瀉法:ゆっくり押す、素速く離す。 あるいは+吸玉療法
血海
【効能】
生血運血・補血養肝(補法)、活血化瘀(瀉法)
血海穴は血の働きが悪くなったときに使用すると高い効果が認められる。補血のみならず、瘀血の人などにも効く。
一般的に月経不順、月経痛、閉経、崩漏、股関節痛、皮膚湿疹、全身の掻痒感、湿瘡、掻痒、皮膚の炎症、心身症、更年期障害に使われる。

第2回 三陰交

前回の血海に引続き、補血活血によく用いる重要な経穴「三陰交」を紹介します。

【帰経】
足の太陰脾経上にある経穴
【特徴】
名前通り、三つの陰脈(足の太陰脾経、足の少陰腎経、足の厥陰肝経が交流しているところ。一押しで三つの経脈に影響を及ぼす。
【取穴部位】
足の内踝(内果)の直上三寸(同身寸、自分の手で測れる※図参照)いわゆる内側のくるぶしの最も高いところから指幅四本上でスネの横にあり、骨と筋肉の境目にある。
三陰交
【刺激方法】
マッサージ、鍼(一般的に妊婦は控える)、お灸。
マッサージの力は控えめにゆっくり押す。呼吸もゆっくりおこなう。
お灸は弱い刺激から中刺激でおこない、強い刺激は控えます。
【効能】
・補血活血(血液の生成を元気にする、血液の流れを調節する)
・肝脾腎関連機能の調節
(1)健康維持・増進に非常に重要なツボ。気血の流れをよくする、副交感神経を優位にする、疲れた身体を癒す、体力を増進する。
(2)女性の諸症状、婦人科全般によく用いる。妊婦に鍼をおこなうことは控える。生理トラブル、不妊症、冷え性(お灸)、めまい、更年期障害など様々な症状に用いる名ツボである。
(3)運動器に関連するトラブル、脳卒中などの後遺症(半身不随など)、四肢麻痺疼痛、足膝腰の冷えなどに。
(4)胃腸のトラブル関連に。足三里などとよく配合する。
(5)虚弱体質・年配者によく用いる。

第3回 太衝穴

【帰経】
足の厥陰肝経に所属し、「原穴」と呼ばれている重要な経穴である。
【特徴】
名前の「太」は重要で太く豊かな意味を示す、「衝」は通行の大きな路、要衝・(気血の)流れの大切な処を意味し、肝経の気血がこの経穴までめぐると、気血が多くあることが有名な為、名づけられた。別名「大衝」。
【取穴部位】
足背にあり、第1・第2中足骨の近位端の間に取穴する。
具体的な取り方:第1・第2の趾の間から、足背に登って、第1・第2(中足)骨の間に沿って、上に向けて指を滑らせて、指が骨と当たり止まる処の陥凹部。
第1背側中足動脈が近く通っている。
太衝穴
太衝
【刺激方法】
マッサージ、鍼、お灸。
☆マッサージのコツは太衝穴に押してから、少々指に力を入れながら更に上に滑り、内果(内くるぶし)を一周回り、下腿と大腿の内側に沿って登って行く。途中下腿では「三陰交」穴に揉んで、大腿では「血海」穴に揉む。
☆鍼法:一般直刺10~20㎜。中医学では「寒があれば則補法、熱があれば則瀉法」。
鍼の補法と瀉法の取り扱いは専門家に任せたほうがいい。
【効能】
他の経穴配合で疏肝理気、袪風燥湿、滋陰補血、活血化瘀などの効能を果たす。
(1)頭痛(特に血管痙攣性頭痛)、高血圧の症状を緩和する。脳血管疾患のツボとして常用されている。
(2)めまい(耳の疾患由来するものと肝陽上亢型)の発作を抑える、肝臓機能の保健穴として用いる。
諸々な疼痛に効く。膝痛、脇腹痛、咽喉痛、腰背痛(特にぎっくり腰)など
(4)目のトラブルに用いる。目が赤/腫痛、ドライアイ、視力低下、緑内障など。
(5)不眠、精神疲労などに用いる。
(6)生理不順、生理痛、更年期障害症候群、性能力の改善などに用いる。
(7)手足の振戦、顔面筋肉痙攣/麻痺、半身不随、足の無力、癲癇、小児ひきつけなどに用いる。
(8)尿漏れ、尿出にくい、感染症など泌尿系のトラブルに用いる。

第4回 足三里

【帰経】
足の厥陰肝経に所属し、「原穴」と呼ばれている重要な経穴である。
【特徴】
  1. ①万能穴、養生穴、長寿穴、強壮保健穴という別名が多い。
  2. ②腹腔内のことを調節する一番重要な常用穴。
  3. ③お灸の方法が多い、歴史記録も多い。
    松尾芭蕉の奥の細道の冒頭に「…股引の破れをつづり、笠の緒付け替へて、三里に灸据うる…」と記されている。足三里にお灸をし、旅の疲労を取るツボ。
    三里の灸の実行者で、記録に残っている代表的な人物として、三河国宝飯郡小泉村の百姓 万平一家がいる。天保11年(西暦1840年)9月11日、江戸永代橋の架け換えの際に、万平242歳、妻たく212歳、子の万吉196歳、その妻も193歳、孫の万蔵151歳、その妻やす139歳という伝聞が残されている。
    長寿の秘密を尋ねると、答えは「他なし、先祖より足三里に灸すと」
【取穴部位】
足三里を押す時、鈍い重い痛みのような感覚がある。(図を参考)
(1)ひざの皿の下にある、外側のくぼみ(「犢鼻穴(とくび)」)から下へ3寸(指幅4本分)に横線(水平線)を描く、骨(脛骨、則ちスネ、弁慶の泣き所)の一番前に出ている峠の外側1寸(親指幅1本分)に縦線を描く、横線と縦線の交差点が足三里。
(2)親指と他の4本指を展開し、90度保持、親指を水平に膝のお皿の上に置き、他の4本は皿の外側に垂直に置く(足を伸ばす状態)、中指の一番先に触れる所が足三里。
足三里
3寸(指幅4本分)、1寸(親指幅1本分)
足三里
足三里
【刺激方法】
1.一般的に5秒間押す、2-3秒間離す、繰り返し行う。
2.お灸をする。棒灸と千年灸などよく使われる。
3.1分間以上に持続的な刺激法も用いる。
4.補法が多い、瀉法が少ない。
【効能】
補益脾胃(気血)・調理経気・補気活血
注:活血について、実験でも証明できている。伝統的に直接「活血」と言わないが、補気、気血陰陽調整(免疫調節)、気血の昇降の調節により間接的に補気行気→活血作用を発揮する。
(1)胃の合穴、四総穴、脾胃の要穴として消化系の疾病全般に用いる。特に胃腸が弱い、消化不良、胃痛、嘔吐、しゃっくり、下痢、便秘、胃神経症など。内臓の諸トラブルに。
(2)足が疲れ(長旅や運動後疲労)、下肢の弱さ、脱力、筋肉が弱い、痛みなど。
(3)動悸、高血圧、心脳血管疾患など、血流状態、血液の質を改善する。
(4)虚弱諸症 特に灸法が適用、例えばCOVID-19の予防に正気を補助したい場合に使用
(5)アレルギー疾患、自己免疫疾患:神経~内分泌~免疫系の軸を通し、調節する。免疫T細胞やリンパ細胞の機能を増強するなど
(6)ダイエット、美容に用いる。気血の充分と流れを良くすることで人気がある。

第5回 百会

【帰経】
督脈:身体の背部と頭部の正中線上に分布。人体の全ての陽経が集まる重要な経脈、「陽脈の海」と称される。因みに香港映画の中で、中国武術の達人たちはよく天地の気を収集し、督脈の気の補助と流れを稽古する場面がある。
【特徴】
  1. ①「百のものが会合する」という名前の通り、多くの経絡が集まり、陽気(血液を動かすエネルギー)を助ける重要なツボ。
  2. ②身体の最頂点にあり、脳と関係する。精神や脳の疲れの軽減、ストレスを感じた時のリフレッシュに良いとされる。
  3. ③『鍼灸甲乙経』によると、頂上の痛み、風邪による頭痛、目の脹痛、頚椎を左右に振ることができない場合、百会を用いることと記載がある。
    現代では、頭頸部だけではなく、循環系、神経系、精神系、消化系の疾患と不定愁訴によく使用する。
【取穴部位】
左右の耳を前に折り、その上角からてっぺんを結んだ線と正中線が交わり、わずかに窪んだところ。前髪の生え際から、後ろ髪の生え際まで12等分し12寸とする、前髪際から5寸、後髪際から7寸の位置(図を参考)
百会 百会
【刺激方法】
両手の中指を重ねて、ツボを垂直に10秒ほど押す。3秒くらい休み、再び右回りに10秒押し続ける。
また3秒くらい休んで、今度は左回りに10秒押す。ズーンとくる痛みが軽くなったら、効果的である。
百会
【効能】
陽気を補助、低下した*気の生理機能を増強する
  1. ①耳鳴り、めまい、頭痛、視力低下、目の充血、鼻づまり、頭痛、抜け毛など頭部の症状
  2. ②胃下垂や痔といった消化器の症状、子宮下垂、腎下垂、筋肉などのたるみに関連する症状
  3. ③高血圧など循環器系の症状
  4. ④神経や精神的症状(ストレスや、頭を使いすぎて疲れを感じた時~パーキンソンなどの難病やうつ病にも幅広く使えます。)

気の生理機能は、人が生きる上で必要な生理機能のことを指す。
具体的に言えば、
  1. ①身体の成長と発育の促進、血行・水分代謝などを推し進める
  2. ②体温維持、身体を温める
  3. ③免疫力を向上させる
  4. ④臓器下垂など下に落ちる症状を防ぐ、出血や大量発汗など体液の異常流失を防ぐ
  5. ⑤新陳代謝の状態維持と促進
  6. ⑥身体を栄養する など